カウンセリングが身近な理由

アメリカではカウンセリングが本当に身近です。私が個人開業をするまでの経験でそのカウンセリングの身近さの理由を感じ取れることがありました。

アメリカでは学校によりますが小学校から高校まで「心」に関する知識を学ぶ場が結構作られています。例えばある小学生では気持ちを表す言葉を雲や太陽の形をした小さなぬいぐるみを使ってわかりやすく教えていました。小学生とカウンセリングをする時は絵を描いたり、ゲームをしながら話すことがごく普通です。そんなかしこまっていないカウンセリング経験も大人になってからの身近さの一因かもしれません。

高校になるとより実体験的に「悩みは誰でもがかかえる」「一人で悩まなくていい」などのメッセージを伝えます。私が働いていたある高校では年に1度、新入生全員を体育館の片側に集め、「好きな土地から知らない土地へ引っ越さなくてはならなかった人、反対側の壁に行ってください。」「大切な家族を失ったことがある人は反対側の壁に行ってください。」などの指示をいくつかすると最終的に全員が反対側の壁に行く。そしてから小グループに分かれて辛い時をどうやって乗り越えたか、一人で乗り越えられない時はどうすればいいかなどを話し合うという事がされていました。

また学校には必ずスクールカウンセラーがいて、多くの場合は常任なのでその存在が学校の一部になっていました。私が働いていた別の高校では常任カウンセラーの存在と、相談室という空間は心の保健室的な役割を果たしていました。カウンセラーと個人的に話す小さな部屋の外には少し広めでソファーがあり流行りの音楽がかかっているラウンジがあり、カウンセラーと話さなくてもその空間にいてもいいという安心感をかもしだしていました。

中高校あたりになってくると言葉で細やかな気持ちを表せる生徒も沢山いました。私が働いていた大学のカウンセリングセンターではカウンセリング慣れしている学生が多く訪れました。相談内容は実に深刻な問題から、大人への道として誰もが経験する友人関係や恋愛、学業や将来への不安など、ちょっと年上のお姉さんに話すかのようにセンターに訪れます。友達に進められてくる学生も本当にとても多かったのも印象的でした。カウンセリングに来る前に友人にも相談しているという事であり、また聞き役の学生も「悩んだらプロに相談」というのが選択肢にしっかり入っています。

もちろん契約志向、言葉志向のアメリカという文化が大きく貢献しているし、またすべての生徒がカウンセリング慣れしているわけではありませんが子どもの頃からの土台や「カウンセリング受けてOK」というメッセージが社会全体であるから大人になった時にも気軽に悩みを打ち明けることができるのだなと思いました。

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