コロナウイルスの不安との付き合い方

コロナウイルスのように目に見えないストレスの不安とはどう付き合えばいいのでしょうか。心理学と生理学の視点から、お勧めの方法を紹介します。

結論から言うと、①正確な情報を、②適量得て、③適切な行動をとり、④不安の正反対に意識を向け、⑤不確実性を受け入れることです。

この五つをすると見えないストレスからくる不安があっても、自律神経とホルモンのバランスがとれ、結果的に免疫力を高めることが出来ます。

正確な情報

未知は不安をあおり、知識は不安を和らげます。不安とうまく付き合うには「正確な情報」を得ましょう。国立感染症研究所https://www.niid.go.jpは専門家向けで表現が硬い物が多いですが、最新で正確性が高い情報が得られます。また世界保健機構(WHO)のウェブサイトをブラウザーで翻訳して読むのもいいと思います。https://www.who.int/emergencies/diseases/novel-coronavirus-2019  

②情報を「適量」得る

沢山の情報を得ると、脳はその分析にかなりのエネルギーを必要とします。あまりにもエネルギーを使うので、脳は省エネ対策として、正しさよりも何よりも、最悪のケースに備えることを選ぶ傾向が強く、その分不安も高まります。脳がそんな省エネ対策を取らなくてもすむように、得る情報の量を調節しましょう。

<ニュースをつけっぱなしにしない> 例え同じ内容でもそれを見るたびに私達の不安は強まります。よほどの理由が無い限り、朝のニュースだけにするなど、情報量を制限しましょう。

<情報は動画ではなく文字で得る> 私達の体は言葉以外の情報に敏感に反応します。例えどんなに嬉しいニュースでも、おどろおどろしい調子でレポーターが話したら、私達の脳は不安に感じるようにできています。小さい子どもは内容がわからないので、特にそのような非言語的な情報に影響を受けやすいです。子どもがいる場では特にテレビや動画で見るニュースを最小限にとどめましょう。

適切な行動をとる

不安とは、「身を守るための行動をしろ」という体の信号であり、それは行動をとることで和らぎます。正確な情報源に載っている予防的な行動を、正しい方法でしっかりと行いましょう。

また「行動」そのものである、体を動かすことも効果的です。自分でできることをしっかりとするのは、不安を和らげるだけでなく、自己効力感と自信を高め、自律神経とホルモンのバランスを整え、さらには免疫力を高めます。

④不安の正反対を感じる

私達の脳は不安要素にばかり気を取られるように作られています。それは一刻を争う(数秒から数時間の)緊急事態で身を守るには効果的ですが、コロナウイルスのように長期にわたる脅威に対しては自律神経、ホルモン分泌、そして免疫という、私達の体を守る3大システムが疲弊し効力が低下します。それを防ぐためにはリラックスの時間をできるだけ沢山持つことです。それには不安(ストレス)の正反対にあるもの - 安全、安心、心地良さ、楽しさ、優しさ ― をしっかりと感じること。以下はおススメの方法です。

<ストレス解消法> いつものストレス解消法でリラックスしましょう。またこの機会に色々なストレス解消法も試して、お気にいりの方法を見つけましょう。

<今ある安全、安心、心地良さをしっかりと感じる> 子どもの笑顔や今健康であることなど、見過ごしがちだけれども、今ここにある安全、安心、心地良い事をしっかりと感じましょう。その際には安心感や心地良さを体のどこに一番感じるかに気づくと、さらにしっかりと感じることができるでしょう。もしその時に、自然に深呼吸や笑顔がでたら、それは自律神経が整い始めた嬉しいサインです。

<不安の不在をしっかりと感じる>

コーヒーカップのぬくもりなど、「なんともないこと」=「不安の不在」を沢山見つけてしっかりと感じましょう。安心や心地良さを見つけにくい時でも、なんともないことは私達のまわりにいつでも沢山あります。その際は五感(目、耳、鼻、口、手)を使って、そのなんともないものの色や形や手触りなどをしっかりと感じ、それを詳しく言葉で表すとさらに効果的です。

<プラス思考> 

マイナスの状況でもそこから得られるプラスの効果を考えてみましょう。例えば、時差通勤やリモート勤務で楽になる、家族と一緒に過ごす時間が増える、ストレス管理法を学ぶ良いきっかけになる、これを機会に大掃除するなどです。ウイルスの心配がなくなる頃までに達成したい目標を決めるのもお勧めです。プラス思考をすることで自律神経とホルモンのバランスをとり、免疫力を高めましょう。

<優しさ> 

不安(ストレス)に対してとても効果的なのは優しさです。人助けをして気分が良くなったことは誰にでもあるのではないでしょうか。優しくすると、脈拍や血圧はさがり、自律神経が整い、免疫力はアップし、炎症を鎮め、うつにも効果があることが科学的にも報告されています。優しさは人に安心を与え、相手の免疫力をも高めます。

<感謝>

不安に対して、感謝は優しさと並んで効果的です。今までの人生であなたを支えてくれた人、あなたに優しくしてくれた人を心に思い浮かべ、 あたかも実際に話しかけているように感謝を込めた言葉を伝えてみましょう。

もちろん実際に電話をかける、メールを出すなどもお勧めです。

⑤不確実性を受け入れる

①から④までの「できること」を全てしても残念ながら不安は残ります。それはどれだけ頑張っても未来を100%コントロールすることは不可能だからです。自分ではどうにもできない事とどう付き合うかは人類と宗教が課題としてきたことでしょう。そして多くの先人が出した答えはそれを事実として受け入れること。変えられない事を受け入れ、「できること」をする。そのために正確な情報を適量得て、感染しないよう適切な予防行動をとり、免疫力を高めるために不安の正反対にあるものに意識をむける。この繰り返しが見えない脅威による不安との上手な付き合い方なのではないでしょうか。

コロナウイルスの脅威を感じずにはいられない毎日ですが、ここに挙げた五つを通して、不安とうまく付き合い、みなさんが健康に過ごせることを願っています。

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