カウンセラーと呼ばれる職種には色々な種類がある上、呼び方がややこしくて迷いますよね。ここではカウンセラーを選ぶ際に知っておきたいアメリカのカウンセラーの種類についてお話します。
免許の有無
カウンセラーの種類を分ける一番の大きなカテゴリーは日本の国家資格にもあたる州免許の有無です。心理療法を行える免許はアメリカに4つあります。初めてカウンセラーを選ぶときはこのいずれかの免許を持っている人を強くお勧めします。カッコ内は一般的な呼び名です。
- サイキアトリストー精神科医
- ライセンスド・サイコロジストー臨床心理士 (サイコロジスト)
- マリッジ&ファミリーセラピストー臨床心理士(MFT)
- ライセンスド・クリニカル・ソーシャルワーカーー臨床心理士(LCSW)
上記以外にもカウンセリング関連の公的な免許と私設団体が授与する免許が多数ありますがアメリカでカウンセラーを選ぶ際には上のいずれかの免許を持っている人をお勧めする理由を次にお話していきます。
有免許カウンセラーのメリット その1 - 免許はクライアントさんのため
意外かもしれませんが免許はカウンセラーのためではなく、クライアントさんのためなのです。免許制度が作られた理由は消費者保護です。
それにより、まずは最低限の心理関連知識と監督下での臨床実践経験の保証。そして免許を授与する公的機関がクライアントの権利保護規定をしっかりと定めており、カウンセラーとクライアント間の力関係の均衡を保つ制度が整っています。
2年ごとの免許更新には直近2年の生涯学習歴、犯罪歴、規定反則歴などのチェックも毎回入ります。
有免許カウンセラーのメリット その2- 守備範囲が広い
アメリカでカウンセリングを行う業種として心理療法(サイコセラピー)、セラピー、カウンセリング、コーチングなど似た業種がいくつかありますが、その中で「心理療法(サイコセラピー)」というのは「医療」などと同じく、特別な資格を満たした者だけが名乗れる業種であり、現在上に挙げた4つのいずれかの有免許者のみが行えます。
上の4つの有免許者は毎日の生活のちょっとしたストレスや悩み相談から深刻な病理に至るまでの知識を持っているので平均として守備範囲が広いので、クライアントさんが「私の悩みの度合いだったら誰に相談したらいいんだろう」と考えるハードルが一つ少なくて済むと思います。また守備範囲を超えている場合にも専門家のネットワークを持っているので連携プレーを取りやすいです。
また心理療法には多くの技法がありますが上の4つの有免許者はどの心理技法の訓練を受けることができるため、クライアントさんの症状やニーズに合わせた技法を提供できる可能性が高いです。最近脚光を浴び、効果が実証されているEMDRの訓練受講も一定の有免許者に限られています。
有免許カウンセラーのメリット その3-バランスのとれたカウンセリング
免許取得の条件として様々な心理技法を学び、色々なクライアント層とカウンセリングを実際に行い、カウンセリングの監督指導と同僚からの考察を数年にわたり受けるので独りよがりなカウンセリングになりにくいと思います。
私の臨床訓練ではライブスーパービジョンと呼ばれる、私がカウンセリングをしているところを同僚と指導教員がライブで見るという事がよくありました。(クライアントさんの承認を得てです。)
また私がクライアントとしてカウンセリングに1年以上通いました。無免許の場合、誰にもカウンセリングしているところを見られずに、または一度もカウンセリングを受けた事も行った事もなくてもカウンセラーと名乗れます。
カウンセラーの違い ー 免許4種の違い
4つの免許の違いは主に免許に必要な条件と、免許取得後に許さている心理関連行為です。
- サイキアトリスト(精神科医):博士号取得、医師免許が必要。医療行為が許されており、薬の処方ができます。
- サイコロジスト:博士号取得、科学的研究の実践が必要。全ての心理検査の実践が許されている。
- マリッジ&ファミリーセラピストー臨床心理士:修士号取得
- ライセンスド・クリニカル・ソーシャルワーカーー臨床心理士:修士号取得
上の3つの細かい違いは沢山ありますがカウンセラー選びに際して一番大きい違いは免許取得までの時間の長さでしょう。
サイコロジストは大学院入学から免許取得まで最短で5年、通常6-7年かかり、単純計算では他の免許よりも取得に1、2年多く時間がかかります。
これは個人的意見ですが上の3つの有免許者の場合、免許取りたての1、2年はサイコロジストのほうが臨床経験が多い分だけいいカウンセラーにあたる可能性は少しだけ高いと思います。しかし、その後はその人その人のセンスと努力の問題であり、免許の種類は関係ないと思います。
有免許カウンセラーのデメリット - カウンセリング料金
有免許カウンセラーを探してみるとそのデメリットがあることにも気づくと思います。それはカウンセリング料金。
保険を使わない場合サイキアトリストは30分で$250という料金もざら。ほかの3つの有免許カウンセラーも相場は50分の面談で$100から$150。無免許カウンセラーもサービス提供をできる仲介業者が大々的に入っているサービスよりもかなり割高です。
仲介業者を通した安価のカウンセリングも1回の面談の質は高価なものに引けをとらないだろうというのが私の憶測なので、試す価値は十分にあると思います。同時にそれらに参加した数多くの同業仲間が短期間で辞めている事も知っています。やっと出会えたと思うカウンセラーが辞めていってしまうのはクライアントとしてショックなものです。
またアメリカの相場は日本よりも高いですが、それには理由があります。それはアメリカでは上の4つどれかの免許を持っていると保険会社と提携ができ、ブログを書いたり、宣伝を一切しなくても保険会社を通してクライアントさんが沢山来てくれるので、日本の相場に合わせなくても採算がとれるのです。それと同時に面談の方針や回数は保険会社に決定権があります。
それでもあえて私がここでオンラインカウンセリングを提供するのはクライアントさんのニーズを第一にできる自由度、安定したサービスを提供できる環境、そして高いプライバシー保護という、お金に換算できない質を大切にしているからです。
まとめ
カウンセラーの種類についてカウンセラーを選ぶ際に知っておきたい点についてお話しました。有免許者をお勧めしていますが、免許がないと質が低いと言ってるのではありません。免許はあくまでも最低ラインの保証であって、カウンセラーの質の保証ではありません。けれども初めてのカウンセリングであったらなおさらのこと良いカウンセラーに当たる可能性を高める選び方だと思います。
公的免許は州により規定が異なるので上に書いた限りではありませんが、有免許者を選ぶメリットと4つの免許の違いの理解に役に立てていただけたらと思います。